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日記:二十一日目:雨

冷たい雨が降っていた。傘という荷物はうっとうしいのだけれど、雨は街が閑散とするので好き。早朝にも似た街をひとりじめできる感覚。冷たいのも好き。冷たさと清らかさが何とは無しに繋がっている。雨の電車は嫌い。他人の傘は冷たいし、刺さるし、床の泥。先週の寄席でまばらな客席だとユルい繋がりができると書いた。他人に淡い好意を持つにはある程度の距離感がなければいけない。

 

3つ用事があって、それぞれがそこそこの位置にあったので歩いて移動した。冷たい雨風に浸されて足先と指先の体温が下がる。3,40分の時間がうまく潰せなくて、チェーンカフェを求めて地下に入ったら人が多くてモワモワしている。冷たい地上から逃げた人いきれが地下でうごめく熱量。虫みたいだね。

 

決めた用事を果たしたので満足感だけは得られたけれど、何かを産んだわけではない日。疲労感に比例する自己肯定感はあったが、充実感はない。感感感感。規模感とか人数感とか今日も感をたくさん聞いた。詳しい数字を聞いているわけではなく、概要をつかみたいのですよという要望が二音で示されるハイコンテキスト。

 

雨が上がった。夕焼けの橙に照らされてアパートへの鉄階段を上がっていると遠くに自分の影を見つける。頼りない影、遠い影。夕焼けも好き。一瞬で過ぎ去ってしまうから掴みたくなる。

 

いつにも増してポエムなのは何も考えていないから。色覚と温覚だけに包まれている日。