日記:二十四日目:溽暑の具合

 昨日の夕方に用事があって都心へ出かけたところ、駅構内の人ごみを縫っている間から怪しんでいたのだが、電車へ乗りこみ冷房の強い風にさらされるうちに、汗が吹き出て吐き気を催し、足が震えて立っていられず、二駅で降りてしまった。実に1年と4ヶ月と2週間ぶりの貧血である。

 

 前回は、徹夜明けかつ少々の二日酔いのなか、和装のため帯をギリギリと締め上げたものだから、わかりやすい身体の反抗であると反省のしようもあったのだが、今回はいまひとつ判別がつかない。

考えてみれば溽暑を言い訳に食を細らせていたこと、数日布団の上でゴロゴロするばかりでろくに動いてなかったこと、扇風機をずっと当てて身体を冷やしたこと、そういった惰性が血圧を下げていたのだろうと思われる。

帯で呼吸が浅くなっていたあの日、わたしを助けてくれた深呼吸とあくびはろくに役立たず、貧血といえども酸素不足に限らないのだなあ、いやそもそもどちらも貧血なのかどうかよく分からないのだけど、と弱り果てていた。

 

 そういう日に限って時間を動かしにくい予定であり、目黒駅の自販機のかげにうずくまりながらも過ぎる電車の本数を数え、次が来たら乗らねばならぬと時間を計算する。何人かの気遣わしげな目線を感じつつ、7分ほど経ったあたりで「たぶんたくさん声かけられてると思うんですけど…」と化粧気のない女性に駅員さんを呼ぶかどうか尋ねられ、いえあなたが初めてです、と声にすることもできない。立てるようになるまで血管を応援していた。

 

 自分を励ましながら用事を済ませ、2時間後にはピンピンして東京駅構内を弾むように歩いていたが、また電車に乗れば少し具合が悪くなる。人いきれの嫌な湿度と、肌を凍らせるような冷房。こんなんで働けるのかしらと危ぶみながら栄養の取れそうな食材を買い込み、また家でゴロゴロする。今日もあまり絶好調という感じはしない。運動をしなくては。

 

 あまりにもやる気が出ないので今日は詩を書き写していた。明日は広島平和記念式典を見る日だから早く起きなくては。蝉時雨と照りつける陽射しのなか、人々が密集して祈る時間を、画面越しに案ずる日だ。八月である。